2015年5月2日土曜日

Geriatrics and Aged Care まとめ②

 最初のローテーションが終わりました!かわでぃーです。久しぶりにビール飲みました。

 ハーバード組のトムに教えてもらったVictoria Bitterと、なんか似てるMelbourne Bitter。飲みやすくて美味しいですが違いは全く分かりません。チョコウサギは科の先生がGood luck!って言いながらポンって渡してくれました。


 さて、老年病内科のまとめ①からの続きです。


救急からのコンサルを受けた先生についていくこともできます。まとめ①で書きましたように、ACE unit の患者は全て救急受診後に入院となった患者で、救急からのコンサルトが当然あるわけです。コンサルを受けてED へ向かう先生についていくこともでき、いつもと違った新鮮な実習ができます。ハードな質問も沢山受けました。「白血病で化学療法を受けている高齢患者が来て、発熱と新たな心雑音がありました、何を疑って、何を診察、検査して、どんな治療を始める?なになに、感染?どんな?好中球減少症?定義は?必要な身体所見と検査は?第一選択で使う抗菌薬は?」満足に答えられず、かなり悔しい思いをしながらも、復習して大変勉強になりました。

 ・RACP examを控えた先生についてShort case を見学することもできました。RACP exam というのは以前 ANUではどんな実習ができるの? で紹介した内科専門医試験の一部のようなものです。これは今までの「見学」の中で一番勉強になったかもしれません。といっても、見学してるだけだと無言で診察を見て、プレゼンは速くて臨床推論の部分が聞き取れなくて、となりがちですが、教育熱心な先生につくことができてラッキーでした。ここでも質問攻めに合います。Ward Round より勉強になるので機会があれば好んでこちらに参加していました。
お分かりの通り、これはGeriatrics に限った話ではないように思います。どの病棟にも、この時期はRACP exam を控えた先生がいらっしゃいます。写真のようなカバンを持っている先生がいたら、その人です。来年ANU に実習しに来る方は、そういう先生についていくのもありじゃないでしょうか。内科ならどの科であろうとも。

Home visiting & Nursing home visitingにも参加することができます。月に1〜2回程度です。Nursing home visit は実際はTTCP; Transitional Therapy and Care Program と呼ばれ、例えば手術後の高齢患者がリハビリを行うために機能回復までの間Nursing home に滞在しますが、医師がその患者の回診をしに行くというようなものです。Home visit では素敵な一軒家にお邪魔できましました。

Medical Grand Round は、毎水曜昼過ぎに様々な科が持ち回りで興味深いケースや最新の知見を紹介するコーナーです。これもGeri だけの話ではなく、多くの先生方が一堂に会して聴講します。ただちょっと僕にはAdvanced すぎるところがあるかな……
 お昼は無料の食事が出ます。立食形式で、ここで友達の輪を広げられました。


 実習内容については以上です。
 感想を書いておきます。

 実習が始まってすぐにLong case にトライできたり、採血をやらせてもらったりして、やりたいことができてるし病棟業務も手伝えてるし、結構いい実習ができてるんじゃない?って思ってました。でも3週目くらいになって慣れてきて、Long case も4回目くらいに突入して、なんとなく感じたのがLearning というよりPracticing になってる気がするということです。採血や認知症スケールなどに慣れて「できるようになった」ことが嬉しくてその過程に満足していましたが、次第にそういう病棟業務の手伝いで医学的なことはどれほど学べているだろうかと疑問に思い始めました。また、Long case もプレゼンの方法についてフィードバックを沢山もらうことでまるで沢山学習しているかのような気になっていましたが、もっと臨床的につっこんだことも質問してフィードバックをもらわないと、ただの練習になってしまうと感じました。すでにGeri での実習は半分以上過ぎていたので、気づくのが遅かったと焦りました。そう思ってからは、Long case を準備する段階から出来る限り臨床的な疑問点をはっきりさせるように努め、自分なりの臨床推論も多くプレゼンに盛り込んで聞いてもらうことで先生からの質問を引き出し、また先生への質問も考えるようにしました。それでやっと、なんとなくLong case の学習機会を活かせてるという感覚を少しは得られた気がしました。

 自分の医学知識がいかに整理されてないかを思い知りました。それに比べてANUの先生はもちろん、医学生がどれほど整理された知識を持っているかを知って、焦りながらもいい刺激になりました。救急患者への初期対応を質問されて全然「初期」じゃないとんちんかんな回答をして、"You are not basic enough!" と言われたこともありましたが、まさにbasic であることが大切だと思います。基本に忠実に。疾患の合併症の知識をそこだけかいつまんだかのように知っていて、初期対応を全然考えられてない、とか、思い返せばそういう風に系統立っていない知識をかいつまむような学習を今までしてきていたと気付かされました。そういう意味でもこの科での実習は有意義でした。

 今一番悔しいのが、「ANU の学生がこの実習で学べていること以上、いやせめて同等のことは学べているか?」と考えた時、そうは思えなかったこと。カンファでの議論、ベッドサイドでの会話などで正直全然聞き取れないことが何度もありました。面と向かって話される時や少人数制のレクチャーなどでは聞き取りやすかったり聞き返してついていけたりしましたが、その他での学習機会で十分に吸収しきれなかったことが残念でした。もっと全集中力を傾けて理解に努めるようしていきます。

 今日嬉しかったことが一つ!来週からImmunology department での実習になりますが、もし時間があればLong caseをやりにきたりレクチャーを受けにGeri に戻って来ていいよって言われました!Immunology ではメインは外来であまりLong case のような学習機会はなさそうなので、嬉しい限りです!あと4回、色んな科のLong case ができればいいです。

お世話になったGeriatrics の先生方と。白衣は着ないんです。

 今後後輩に勧めるかどうかを含めて、まとめるとこんな感じでしょうか。

◯ 問診・診察・臨床推論・プレゼンを基本からたっぷり時間をとって学べる。
◯ まさにFOCUS で学んだことを活かせる。
◯ レクチャーでは非常に系統だった知識を得られる。
◯ 内科一般を広く学習できる。
◯ 教育熱心な先生から質問攻めにあえる。
◯ 見学スタイルの学習も比較的Interactive。
◯ 実習後もLong case やレクチャーに参加しに戻ってきて良い。
◯ 拘束時間全然きつくない。日々生まれる疑問点を調べる時間がたっぷり。
✕ 病棟の患者をフォローするという学習の場が設けられてはいない。それをやるには自ら動くしかない。しかし検査結果など確認したくてもパソコンが少なすぎる。
✕ 手書きのカルテで、SOAPにそって書かれてないので(!)、患者の状態の把握がかなり難しい。
✕ Short case のチャンスはあまり期待できない。身体所見は自分で勉強。
✕≒◯ 午後は結構空き時間があり、自分で何かやることを探す必要がある。ある意味自由、ある意味放置。(Long caseでもなんでも、自分の裁量に任されている。)

 にゃん吉のOncology などはGeri と比べて比較的Advanced でとてもおもしろそうな科ですが、それよりもっと内科を基本から学習したいという方にはおすすめできると思います。

 また長くなりなしたが、このへんで!

 まだチャリが直らないよ!

かわでぃー

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